市政の動き−定例市議会報告

【11.04.09】 国への意見書を議運に提出パート? 共産党議員団

TPP不参加、福祉増進を

 日本共産党議員団は、刈谷市3月議会に、国への意見書6本を、議会運営委員会に提出。
 そのうち、今回はパートIIIとして、(5)環太平洋連携協定(TPP)への不参加を求める意見書、(6)自治体の機能と役割を弱め地方自治体を壊す「地域主権改革」ではなく、地方自治体の機能と役割の充実を求める意見書、の全文を掲載します。
 いずれも、国と地方自治にかかわる基本問題であり、重要課題ですので、ご意見をお寄せください。

国内産業を守るため TPPへは不参加を

 ●環太平洋連携協定(TPP) への不参加を求める意見書
 政府がすすめようとしている環太平洋連携協定(TPP)に参加しているのは、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアの4カ国だけであり、人口でいえば東アジアのわずか5.7%にすぎません。
 しかも、そのすべてが、すでに日本とFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)を締結している国々です。
 したがって、日本にとってのTPP参加の意味合いというのは、事実上、米国とのFTAの締結ということになります。仮に、日本がTPPに参加して10カ国の枠組みになったとしますと、日米だけで参加国のGDP(国内総生産)の90.8%を占めることになります。
 しかも、2国間のFTA交渉なら関税撤廃の除外品目の交渉の余地がありますが、TPPの場合は、原則例外なしの関税撤廃がルールとなっています。つまり、日本にとってのTPP参加は、端的にいって「例外なしの関税撤廃を原則とする日米FTAの締結」ということになります。なお、こうしたルールがあることなどから、中国、韓国、インドネシア、フィリピン、タイなどは、自国経済をまもる立場で参加していません。
 農水省試算によりますと、日本の食料自給率は40%から13%に急落しコメ生産の90%は破壊され、農林水産物の生産は、4兆5千億円も減少するとしています。輸出品目以外のすべての国内品目に多大な影響がでてきます。
 政府は、食料自給率を40%から50%に引き上げる「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定していますが「関税ゼロ」と「食料自給率50%」はまったく両立しません。いま必要なことは、「日本の食料は日本の大地から」を基本にすえ、日本の食料主権に基づく貿易ルールを確立することです。
 よって、農林水産業をはじめ、すべての国内産業をまもり発展させるため、TPPに参加しないことを強く求めます。

自治体の機能と役割は「住民の福祉の増進」

 ●自治体の機能と役割を弱め地 方自治体を壊す「地域主権改革」 ではなく、地方自治体の機能と 役割の充実を求める意見書  
 政府がすすめている「地域主権改革」は、これまでの自公政権時にすすめてきた「地方分権改革」を継承しさらに強化するものです。
 これは、憲法と地方自治の精神を踏みにじり、福祉などへの最低基準を定めた「義務付け・枠付け」の見直しなどによって、国の社会保障などへの最低基準の保障責任を放棄し「住民の福祉の増進の機関」としての自治体の機能と役割を今後さらに弱めるものとなっています。
 また、道州制を視野に入れた自治体のさらなる広域化と改編によって大企業・多国籍企業が活動しやすい条件をつくり、憲法と地方自治法に基づく「二元代表制」を事実上否定するもので、地方議会を形骸化するものです。このことは住民自治を破壊・縮小に導き、ひいては、住民のくらし、福祉の根幹が守られない道にすすむものです。
 これまで、「地域主権改革」の掛け声ですすめられた、公立病院の廃止・民営化、公立保育園の民営化、指定管理者制度による株式会社の参入、市場化テストの導入などによって、住民のくらしを脅かすさまざまな問題を引き起こしています。
 憲法と地方自治の精神は、社会保障や教育などに関する最低基準は、国が責任を持つと定め、そのための財源を国が保障することを原則として確立するとともに、地方自治体による上乗せなどの裁量によって「住民の福祉の増進の機関」としての地方自治体の機能と役割を果たすものです。
 よって、自治体の機能を弱め、地方自治を壊す「地域主権改革」ではなく、憲法と地方自治法の精神に基づいて、地方自治体の機能と役割がいっそう充実されることを求めます。

 ●日本共産党議員団が刈谷市3月議会に提出した国への意見書6本は、いずれも他会派の反対で否決されてしまいました。
 ただし、清風クラブは、法人税減税と消費税増税を行わないことを求める意見書と環太平洋連携協定(TPP)への不参加を求める意見書に賛成しました。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
RSSフィード(更新情報)