市政の動き−コラム「展望台」

No.1576 アーサー・ビナードさん

ビナードさんの第五福竜丸ビキニ被爆の真実

 先日、名古屋で「反核・医師の会」主催によるアーサー・ビナードさんの講演会が行なわれました。
 ビナードさんについては、以前にも本欄で紹介しましたが、中原中也賞を受賞するくらい日本語を駆使する人ですが、大学を卒業してから日本に住み着いた、まだ42歳のアメリカ人です。

 ビナードさんがすばらしいのは、日本語の能力だけでなく、アメリカ政府の侵略政策を厳しく告発し、平和運動にも大きな力を発揮していることです。
 そのひとつが、1954年3月1日に起きた、あの第五福竜丸の被爆事件の真相を語ることです。

 船がビキニ環礁で死の灰を浴びた時、船員たちはアメリカの原爆実験ではと直感しました。実際は、広島原爆の1000倍もの威力を持つ水爆実験だったわけです。母港の焼津に打電すればアメリカ軍に傍受されて見つかってしまい、撃沈されると判断し、通信せずに母港生還に成功したという事実は、日本人にもあまり知られていません。

 さらにビナードさんが強調するのは、亡くなった久保山愛吉さんは単なる被害者ではないということです。降ってくる死の灰をビンに集めて持ち帰り、この分析を科学者に依頼することによって、実験が水爆であったことが、天下に明らかになったことです。
 「久保山さんは、米軍に勝利した偉大なヒーローだ」と称えました。
 そして「私たちは一人ひとりが貴重な命をつなぎ、産み出していく産婆さんになりましょう」と話が結ばれました。

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